観た後に後悔しない舞台を作ってくれ

応援している俳優が2.5次元舞台にバチバチに出演していて言うことではないけど、2.5次元舞台は内容とそれにかかる時間とお金が見合ってない。好きの搾取である。



応援している俳優のことは好きだから彼の演技に約1万円を払うことはもったいないとは思わない。彼の演技には1万円の価値がある。でも舞台自体に1万円の価値はあるとは思えない。面白いものももちろんあるけど、大概は話が純粋に面白くない。長い原作を2、3時間にまとめているから内容が薄かったり突然だったりしたり、原作を読んでないと理解自体出来ないことも多く、原作の名前を名乗る必要があるのかというレベルで内容やキャラがぜんぜん違う舞台もある。




2.5次元舞台は原作を見たことない人も理解出来て面白く、原作見た人も満足出来るものではなくちゃいけないと思う。舞台とは、初見で内容を知らない人が観ても面白く、話を知っている人が気づく点があったり考察する余地が残されてて何回観ても面白くなくてはならないと思う。言うのは簡単でそれじゃ具体的にどうすればいいのかはわからない。全部理想論だけど、好みの問題もあるが何回観ても面白い舞台があるのは事実である。



でも、必要な話を入れないのに、俳優の笑いのセンスも欠片もない日替わりを入れるのは辞めてほしい。通う人のために日替わりを付けるのはわかるけど、ほとんどの俳優に笑いのセンスはないから面白くない。俳優の日替わりに対して拍手が起こるというのは面白かったではなく『頑張ったね』という努力賞だ。可哀想だから笑ってもらってるし拍手してもらっているのだ。そんな俳優を見たくないので安易に俳優に日替わりを託すのではなく、日替わりをするのならしっかり演出家と考えてほしい。





2.5次元ブームの時にハマった私が言うことではないけど、最近の.5業界は特に数打ちゃ当たる戦法だなと思う。今まで演技も歌も殺陣もダンスも練習してこなかった顔がいいだけの一般人が1ヶ月稽古しただけで、衣装や演出にお金が大してかかってないだろうお遊戯会でも原作が人気ならチケットは取れないほど人気である。短時間で少ないお金で儲けられるいい小金稼ぎである。商売としては間違ってない。でも、原作も俳優も使い捨ての2.5次元業界に未来はない。鉄は熱いうちに打てというがその通りでブームの時は何しても儲かる。でも、我々消費者は飽きっぽくて気まぐれだから、すぐに熱がなくなる。熱がある時は俳優がどんなことを言ってもどんな演技をしても好きだし、舞台も何見ても楽しいし面白い。だか、熱が冷めて冷静になってみると、俳優は演技が下手でいつも同じような演技をしてて、舞台は面白くない。飽きて当たり前である。



そんな飽きっぽい客を如何に正気に戻る前にお金を出させるかが次々と舞台を乱立するかになっている。確かに人は期間が空くと冷静になって熱がなくなってくる。1ヶ月俳優の演技を観ないともう好きじゃないかもと思うが、演技を観た瞬間にやっぱり好きと思ってしまう。でもどんなに期間を短くしても、人はいつかは熱が冷めて正気になってしまう。その正気になった時に魅力がないから人は離れるのであって、魅力があれば離れる人はいても残る人はいる。




だが、その魅力が難しい。単純に時間とお金が足りない。面白い舞台を作るにはお金と時間が必要だが、舞台の制作費にお金をかけることは難しいし、客が飽きっぽいのでしっかり時間を練って作ることが難しい。最近はイケメンの俳優が歌って踊ってファサすればいいんでしょといわんばかりの客を舐めたしょうもない舞台が多くなった気がする。火付け役になったであろう刀ミュは今までにない2部でキャラが歌って踊ってそれにペンラを振るという発想自体は普通の人には考えつかない素晴らしいエンタメだと思う。ミュージカルとは言えないが、死にかけの舞台業界においてオタクという客を家から引っ張り出して舞台に向かわすことに成功しているので商売としては成功だといえる。



俳優の魅力については、俳優は吐いて捨てるくらいいるからすぐに飽きられるのが怖いし、稽古期間は給料が出ないので生活のために短い稽古期間で舞台に出なくてはならない。少ない稽古期間でろくにレッスンもしてないから演技力や歌唱力などは対して上がってないのに、歳とともにだいたいの若手俳優の魅力の大部分である顔は劣化していくばかりである。



そして、少ない稽古期間で舞台に出るから演技力ないのはしょうがなくはないけどしょうがないとして、やる気がない・舞台が好きじゃない俳優もいる。舞台を観てると生だからか不思議と俳優の気持ちが伝わってくることがある。客に何がわかるのかという人もいるだろうけど、あの人やる気なかったな舞台嫌々してるんだろうなって思う人を調べると後から俳優を辞めていたり、炎上中だったり、最初は真剣じゃなかったと発言もする俳優もいたりするので間違ってはないと思う。1回しか観ていない特に俳優やキャラのファンじゃなくてもそう思ったので、俳優は特に中日に注意してほしい。






若手俳優の立場になってみると、テレビに出る俳優を見て俳優を目指そうと思ったり、イケメンだからその辺を歩いてたらスカウトされた人が多いと思う。(ブームになったからもちろん2.5次元舞台に憧れて俳優を目指した人もいるだろうけど少ないと思う)それで仕事が来たと思ったらよくわからない漫画やアニメやゲームの原作の舞台である。俳優といえばテレビに出演している菅田将暉吉沢亮山崎賢人を想像しているのに、肩透かしを食らってもしょうがない。彼らはイケメンなのでオタクカルチャーに理解が乏しいばかりかどちらかというと馬鹿にしていたポジションの人が多いだろう。




そして、人気舞台の人気キャラを勝ち取ってファンが増えても2.5次元舞台じゃなければ多くのファンは来てくれない。(人気舞台に出演するのは運とコネ)人気舞台に出てる時はキャーキャー言って一生応援しますと言ったファンはすぐいなくなる。.5の舞台も.5じゃない舞台も頑張ってるし、似たような見た目のオタクを頑張って覚えてファンサしてもオタクは離れていってしまう。努力して前より成長しているはずなのに、ファンは離れるし人気舞台の時にしか来てくれない。自分じゃなくてキャラが好きなだけとやる気がなくなり自信がなくなってもしょうがない。



それでいて給料は少ないし、頑張っていれば大きい舞台やテレビに出れるかと思えばそうではないし、オタクはキモイしストーカーもいるし、現実は優しくない。やる気がない俳優がいてもしょうがない状況である。








それでも私は演技が上手で熱意がある俳優の演技が観たい。何度観ても話が面白い舞台が観たい。世の中には娯楽が溢れている。例を出すと、同じ娯楽でもディズニーのワンデーの一般チケットの値段は7400円で、同じような時間を取る映画のチケットは1800円である。ディズニーのチケットよりお金を取っておいて、楽しい舞台といえるか。映画と同じ時間で映画よりお金を取っておいて映画より面白い舞台といえるか。胸を張って『はい』と答えられる人がどれくらいいるだろうか。



実際には、何ヶ月先からよくわからないチケットに人脈を駆使して応募して予定を空けておいて、地方なら飛行機や新幹線、夜行バスでお金と時間をよりかけて舞台を観に行っている。手紙も書くし、プレゼントも花も用意する人はいるし、大きい声では言えないが前方列や俳優の導線や客降りのために通路などの席を買ったりする。とても時間とお金がかかってるのにもとが取れない割に合わない趣味である。








彼らは俳優という職業だから生きていくのに舞台は必要だけど、私達は客で娯楽だから生きていくのに舞台は必要ないし、時間もお金も割に合わない趣味である。


ではなぜオタクが舞台を観に行くかというと、それは好きだからである。


原作や俳優が好きだから面白いかどうかわからなくても、時間やお金がかかっても、行きたくなくても、体が動いてしまうのだ。

これを好きの搾取と言わずなんと言えばいいのだろうか。頭のおかしい人?間違ってない。





時間もお金も割に合わない趣味なのに辞めることはできないから、せめて面白い舞台を作ってほしい。観た後に後悔しない舞台を作ってほしい。